イスラエルとハマス 10/31
イスラエルとハマスの紛争が3週目に入り、インターネット上、特にSNS上での発言や抗議活動が活発化しています。その結果、広告費の削減や、紛争関連のコンテンツに対するブランドガイドラインが見直されている状況です。また、最近は著名人らが戦争の影響に対する姿勢や懸念を表明するケースも増えてきています。
中国による最新の動きと中立的な姿勢は、中東における和平調停者としての野心が揺らいでいるとの見方もあります。また、世界銀行が戦争による経済悪化の見通しを発表したことで、アジア諸国はすでにその影響を予期しています。
- 世界銀行は、中東全域で紛争が激化すれば、石油や農産物といった原材料の値上がりにつながる可能性があると警告しています。紛争が激化すれば、原油価格は1バレルあたり150米ドルに達する恐れもあり、アジア諸国では懸念が高まっています。例えば、インドの専門家によると、原油価格の高騰は市場にさまざまなマクロ経済的影響を及ぼし、金融・銀行部門にも影響を及ぼすとされています。日本の政策立案者たちも、輸入コストの上昇によって、日本の家計や消費、また企業収益にも悪影響が出るだろうと警鐘を鳴らしています。タイでは、紛争の影響でSET指数が最安値を更新するなど、金融情勢が悪化しています。
- アジアでは、パレスチナを支持するデモが続いています。インド南部のケララ州では、パレスチナとの連帯を掲げて約10万人が結集しました。ニュージーランドでは、パレスチナ国旗と「フリー・パレスチナ」と書かれたプラカードを持った数千人が国会議事堂までデモ行進したということです。10月28日、マレーシアの首都にあるアメリカ大使館前では、大勢のデモ隊がスローガンを叫びました。インドでは、イスラエルとハマスの紛争に関するインスタグラムの投稿をめぐって、異なる2つのグループが衝突しています。マレーシアでは、何千人もの国民ーその多くは子どもたちーが、仮想世界のRoblox(ロブロックス:さまざまなゲームで遊んだりゲーム制作をしたりできるゲーミングプラットフォーム)で行われた親パレスチナデモに参加しました。このような活動の様子は、その後TikTokで拡散されています。
- また、支援や懸念を表明する著名人も増えています。マレーシアでは、著名人がパレスチナ人への支援を呼びかけています。ピューリッツァー賞を受賞した作家のグエン・タイン・ベト氏は、自身の姿勢に対する反発を受け、詩の朗読会が延期となりました。
- 中国は、中東における重要な仲介役になることを望んでいますが、その望みは絶たれる可能性もあります。今年初め、中国はイランとサウジアラビアの関係正常化を仲介 deal between Iran and Saudi Arabiaし、さらにイスラエルとパレスチナの協議仲介を申し出ていました。しかし、紛争が始まって以来、中国は平和的解決を求める中立の立場を堅持しています。批評家たちは、この姿勢について、中国は中東における自国の経済的利益と、積極的な仲介役としての役割とを天秤にかけているのではないかと疑問視しています。中国は、国連やSCO、BRICSなどの多国間枠組みにおいて、イランとの協調を強化すると発表しています。
- 中国のSNSでは反ユダヤ主義が増加傾向に。中国のSNSアプリWeChatでは、「反ユダヤ」といったフレーズを含む検索や言及が急増しています。さらに、中東の混乱に関するニュース記事には、ユダヤ人に対するあからさまな脅迫から、紛争におけるイスラエルの行動を擁護する人物に向けられた否定的なコメントまでが散見されています。中国のSNS上では、自身をユダヤ人と認識するインフルエンサーたちが、ネット上の大衆から誹謗中傷の標的にされています。
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