イスラエルとハマス 11/3
今週、アジア諸国ではイスラエルとハマス紛争がもたらす政治的影響に注目が集まっています。戦争と人質問題によって、特に東南アジアでは新たな抗議デモが発生し、アメリカとマレーシアの関係にも影響が及び始めています。シンガポールでは、衝突やデモを回避するための対策が積極的に展開されています。
中東地域における中国の役割と影響力は、依然として疑問視されています。インドでは、紛争への対応が、国の政治情勢にも影響しているようです。さらに、世界中のメディアは、正確な情報へのアクセスや、誤報リスクの減少に苦慮している状況です。
- 人道支援活動。インドネシア政府は、エジプト経由でガザに人道支援を送る準備が整ったことを明らかにしました。日本の外務大臣はイスラエルを訪れ、戦争の人道的な一時停止を要請。同国の自衛隊は、日本人およびその他市民をイスラエルからヨルダンに退避させました。
- 戦争と人質拘束問題の影響で、アジア諸国では新たな抗議行動が発生しています。10月7日の襲撃事件では、タイ人労働者23人、ネパール人学生10人、フィリピン人4人が命を落としました。さらにタイ人29人、ネパール人1人が人質に取られたと見られています。タイでは、この人質事件を受けて、イスラエル在留のタイ人労働者が多数いることに関心が集まり、多くのタイ人がパレスチナ大義に反感を抱き、デモ活動の火種となっています。
- フィリピンでは、人道目的でのガザ休戦を求める国連決議United Nations に対して、フィリピン代表が棄権したことを受けて、イスラエル大使館前で抗議デモが行われました。しかしフィリピン政府は、10月7日の攻撃でフィリピン人労働者が殺害されるなど犠牲者が出たことを決議案に明記するよう求めており、その立場は正当だと主張しています。
- アメリカとマレーシアの関係は、紛争に対する両国の異なる立場から厳しい状況に置かれています。アメリカはマレーシアMalaysiaに対し、「ハマスをテロ組織と認定しない」という公式見解を撤回するよう、3度に渡り要請してきました。しかし、東南アジアで最も声高にパレスチナの大義を支持してきたマレーシアは、今後もアメリカの圧力には屈しないとしています。また、韓国系アメリカ人のK-POPアーティストは、紛争関連の投稿に「いいね!」を押したことで脅迫を受け、クアラルンプールでのコンサートを中止しました。
- シンガポールでは、紛争が国の秩序に悪影響を及ぼすことを懸念し、緊張が高まっています。シンガポール政府は、イスラエル対ハマスの紛争が続く中、政治的な目的で自国を利用することのないようにと、外国人に対して異例の警告を発しました。シンガポール・イスラーム宗教評議会(MUIS)の(宗教権威である)ムフティ事務局は、現在、国のイスラム教徒が海外の紛争にどう対応すべきかを指導する宗教的指針を策定しているとのことです。しかし、イスラエル・パレスチナに関する公的集会が禁止されたことを受け、現地の活動家たちはパレスチナ大義への連帯を示すためにインターネット上に集結している模様です。
- 中国が国連安全保障理事会の議長国に就任。11月に国連安全保障理事会の議長国を務める中国は、パレスチナ情勢を最優先課題にすると述べています。しかし、中国人が襲撃の犠牲者に含まれているにもかかわらず、北京当局はハマスをテロリストと呼ぶことを避けているため、中国の役割をめぐる論評が増えています。また、中国のオンライン地図から「イスラエル」という国名が消えたことを受けて、中国政府は釈明を余儀なくされました。
- イスラエルとハマス戦争に関する報道において、メディアはかつてない困難に直面しています。相反するプロパガンダやSNSからの圧力、海外メディアがガザに近づけないこと、そして世論の煽動など、メディアは今、複雑かつ二極化する情勢に細心の注意を払う必要があります。このような状況により、正確な情報を入手することや、誤報防止に向けての綿密な情報確認が困難となっています。
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