MICEとアジア太平洋地域
ウェーバー・シャンドウィックのAPAC Intelligence Bulletin(アジア太平洋地域情報速報)では、毎週、アジア太平洋地域の産業分野や市場を方向付ける重要な動向をお伝えしています。
- ビジネストラベル(出張旅行)の復活により、アジア太平洋地域のMICE分野が再び活気づいています。
- 各地の主要イベントは、ここ数年のオンライン参加やイベント中止などを経て、過去最高の参加者数を記録しています。
- 多くの国がMICE産業の復興に期待を寄せており、新たな出張者の誘致に力を入れています。
- MICE分野が活気を取り戻しつつある中で、「包摂性(インクルージョン)」への関心が高まりつつあります。
ある業界調査によると、アジアのイベント関係者の92%が現在、対面式イベントを計画していることがわかりました。同様の業界調査では、この地域の専門家の81%が、対面式の会議は景気回復に不可欠であると考えています。何年も冬眠状態にあったアジア太平洋地域のMICE部門は、パンデミック以前の水準に戻りつつあるようです。MICE(マイス)とは Meeting(会議、研修、セミナー)、Incentive Travel(招待旅行)、ConventionもしくはConference(国際会議、学会)、ExhibitionもしくはEvent(展示会)の頭文字をとった言葉です。
バーチャルリアリティの先へ
この地域では、主要イベントが過去最高の来場者数を記録するなど、対面での参加という形が戻りつつあります。例えば、ニュージーランド政府によると、クライストチャーチで最近開催されたビジネスイベント会議では、バイヤーおよび出展者の数が過去最多になったとのことです。日本と韓国の経済団体は、最近、新型コロナウィルスの発生以来初となる対面式の会議をソウルで開催しました。
アジアの多数の市場が、この業界の復活に期待しています。フィリピン観光省は、同国のニュークラーク市をMICE誘致のための重要な資産と位置づけています。マレーシアとインドネシアの業界団体は最近、両国がグローバルなビジネスの場において重要な役割を果たすべく、MICEに関する共同計画を発表しました。
多くの人々が期待しているのは、MICE関連の旅行が他のビジネス分野の活性化や支援につながることです。インドでは、対面式イベントが復活したことにより、国内の航空会社が、イベントに伴う出張から大きな恩恵を受けたといいます。オーストラリアでは、対面式イベントへの需要が再燃しており、あるイベント運営会社は過去17年間で最高の月次収益を記録しています。
従来とは違う「ノーマル」
この分野の復活は、地域における他分野の成長も促しています。例えば、タイでは複数の教育機関がMICE関連の研修を拡張しています。また、中国のある企業は最近、マカオ特別行政区に初のハイブリッド型イベント会場を開設しました。台湾政府は、台湾のMICE誘致力を世界にアピールするため、「Re-Fresh Taiwan」キャンペーンを新たに展開しています。
この復興の特徴として挙げられるのが、「包摂性(インクルージョン)」への意識の高まりです。インド政府は現在、すべての公式な会議において手話通訳者を配置する計画を打ち出しています。オーストラリアでは、ある州政府が、今後すべての会議を録画し、自由に公開することを発表しました。あるグローバルなメタバース・ブランドのアジア太平洋地域支部は、アジアのマーケティング会議に向けて女性講演者のデータベースを立ち上げるとのことです。
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この報告書はウェーバー・シャンドウィックのインサイト&情報チーム(シンガポール)が作成したものです。
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