製薬業界とアジア太平洋地域
ウェーバー・シャンドウィックの APAC Intelligence Bulletin (アジア太平洋地域情報速報)では、毎週、アジア太平洋地域の産業分野や市場を方向付ける重要な動向をお伝えしています。
- 多くの市場においてパンデミックの深刻さが緩和される中、アジアの製薬業界はこの機会を最大限に活用し、今後起こりうる危機への対策に取り組んでいます。
- 当面の課題として、企業や政府はCOVID-19に対抗するための、より強固で包括的な医薬品戦略を構築しています。
- 長期的には、医薬品の製造・供給・開発の強化に向けた投資が行われています。
- さらに広範囲では、情報や治療法へのアクセスのしやすさを求める声が高まっています。
アジア市場の多くでパンデミックの規制緩和が進む中、アジア太平洋地域の製薬業界はCOVID-19の治療への投資を引き続き行っています。ある世界有数の製薬会社は、スマートフォンでCOVID-19の診断を試みるオーストラリアのベンチャー企業の買収に7000万米ドル超の入札を行いました。また、同一の多国籍企業は、2022年末までに全バリアント対応のCOVID-19ワクチンを製造することを計画しています。
レジリエンス(回復力)の強化
アジア太平洋地域全体で、各国政府も同様にCOVID-19のより包括的な治療法に投資しています。オーストラリアとニュージーランドの両政府は最近、COVID-19の重症度を下げるための医薬品を導入することを発表しました。一方、タイと日本の両政府は、ワクチンがより多くの人々に行き渡るよう、ワクチンの供給方針を改正しています。
官民両部門が一体となったこの取り組みは、今後のCOVID-19発生や、新たな医療危機を想定し、アジア太平洋地域におけるレジリエンスを構築する試みであると言えるでしょう。シンガポールでは、フランスの医療系多国籍企業が、新しいワクチンの開発を目的とした施設に4億7000万米ドルもの費用をかけて着工を開始しました。インド政府は最近、2024年までに医薬品原料の輸入を25%削減することを表明しています。
中国やマレーシアなどの市場ではCOVID-19の症例数が多いにもかかわらず、国内では新しい医薬品開発への投資が優先されています。例えば、中国では、あるベンチャー企業が、世界で初めて人工知能だけで開発した医薬品の治験を完了させたところです。マレーシア政府は、2022年まで税制優遇措置を通じて、同国の医薬品製造部門を引き続き強化すると発表しています。
アクセスの向上
政府や企業が新たな解決策に投資を続ける一方で、感染した人々や、その他の関係者は、人々がより治療を受けやすい環境を作ることで、医薬品業界の耐性が強化されると考えています。タイでは、700店舗からなる薬局のネットワークが、COVID-19の患者に無料で治療を提供することを表明しました。フィリピン保健省は最近、医薬品の過剰請求を抑え、より多くの一般市民が治療を受けられるように、ASEAN加盟国に対して薬価を共有するよう要請しています。
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この報告書はウェーバー・シャンドウィックのインサイト&情報チーム(シンガポール)が作成したものです。
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