アジア太平洋地域における観戦型スポーツ
ウェーバー・シャンドウィックのAPAC Intelligence Bulletin(アジア太平洋地域情報速報)では、毎週、アジア太平洋地域の産業分野や市場を方向付ける重要な動向をお伝えしています。
- アジア太平洋地域の観戦型スポーツは、数年にわたるパンデミックによる中断を経て、徐々に活動を再開していますが、現在、さまざまな文化的変革を迎えています。
- 主な変革の1つは、より安全で、多様性に富み、より信頼のおけるプロスポーツ界へのシフトです。
- さらに大きな流れとして、スポンサーや政府、業界団体は、今の時代、どのようなスポーツが継続的な支援に値するかについて協議しています。
- こうした中で、COVID-19再発への懸念は依然としてアジア太平洋地域の産業全体に及んでいます。
アジア全域の市場において、COVID-19の規制緩和が十分に進み、従来の観戦型スポーツ産業が再興されるようになりました。パンデミックによる延期の後、東南アジア競技大会が現在、ベトナムのハノイで開催されており、推定5000人のアスリートが出席しています。インドでは、ムンバイ最大級のスポーツ施設がCOVID-19発生以初めて営業を再開しました。
変化する常識
2年ぶりに復興したアジアの観戦スポーツ産業は、各方面の新しい考え方や優先順位に順応している状況です。例えば、代表者に多様性を求める声は著しく高まっています。ラグビーニュージーランド代表は、政府が定めた期限(最近過ぎた)までに十分な数の女性役員を任命できなかったため、政府資金の削減に直面しています。
シンガポールでは、女子サッカー・プレミアリーグが初のタイトルスポンサーを迎えて再発足しました。車椅子ラグビーでは、2023年にアジア・オセアニア選手権が日本で開催されますが、これは2020年以来初のアジア・オセアニア選手権大会となります。多様性に対する重要性は、アスリートの安全性への取り組みという大きな動向の一環です。アスリートにとってより安全な環境づくりを求める声はさまざまな方面から年々強くなっています。
オーストラリアでは、50人以上の元プロ体操選手が、政府主導のトレーニングプログラムで虐待の被害体験があったことについての調査を行うよう求めています。香港では、あるプロドライバーが、コロナ後の環境においてより安全で持続可能であるとして、eスポーツとシミュレーションレースのチャンピオンになりました。フィリピンでは、日本の大手自動車メーカーと共同で、第3回目となるシミュレーションレースの大会が近日開催される予定です。
変わりゆく競争相手
eスポーツの台頭は、アジア地域全体でどのスポーツを優先させるべきかという大きなテーマの表れでもあります。インドのレスリング業界は、第26回コモンウェルスゲームの主催者がレスリングを競技種目として現時点で挙げていないため、この種目が世界的な大会から除外されることを再び懸念しています。レスリングはこれまでも、2020年の東京オリンピックで廃止される予定でした。
香港では現在、スヌーカー(ポケット・ビリヤード)の選手と体操選手たちが、各競技の一流選手への出資を継続するよう政府当局に働きかけています。一方で、タイ政府は格闘技のムエタイを オリンピック種目にするキャンペーンでサウジアラビア政府の支援を確保しました。また、パプアニューギニアは、オーストラリアとニュージーランドのナショナルラグビーリーグに参加するキャンペーンを開始しました。
パンデミックという不確定要素
産業の多くがパンデミックからの継続的な復興を望んでいる中、この地域では、COVID-19による複雑な状況がまだ続いています。中国では現在、感染が急速に拡大したことから、アジア競技大会が史上初めて延期されることになりました。インドでは、近頃のCOVID感染により、競技会場が別の都市に変更されています。東南アジア競技大会では、複数の選手が競技前にCOVID-19に感染し、出場辞退を余儀なくされました。
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この報告書はウェーバー・シャンドウィックのインサイト&情報チーム(シンガポール)が作成したものです。
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