
アジア太平洋地域におけるスポーツ
ウェーバー・シャンドウィックのAPAC Intelligence Bulletin(アジア太平洋地域情報速報)では、毎週、アジア太平洋地域の産業分野や市場を方向付ける重要な動向をお伝えしています。
- パンデミック以降、アジア各地の市場がスポーツ社会の復興に積極的に取り組んでいます。
- プロスポーツの主要イベントが優先される一方、多くの国では、スポーツ参加者の増加を目指し、より積極的な投資を行っています。
- 文化やウェルビーイング(個人の心身と社会的な健康)への施策としてのスポーツへの投資は、スポーツ界における福祉やインクルージョン(包括・包含)をめぐる、より広範囲な議論にも関連しています。
- この地域全体で、スポーツ部門は、さまざまな分野やコミュニティを包含すべく拡大しつつあります。
パンデミックの期間中、プロスポーツ競技の継続が困難だったことは周知の通りです。しかし、アジア太平洋諸国の政府が抱える課題の1つは、人々やコミュニティが参加者として再びスポーツに関与できるよう支援することの複雑さに起因しています。
優先順位のバランス
各国政府は現在、国民の健康と安全を損なわずにスポーツに対する制限を緩和しようと努力しています。フィリピンでは、現在の環境下で接触型のコミュニティ・スポーツを安全に再開できるか否かで当局の意見が分かれている状態です。ニュージーランド政府は、コミュニティ・スポーツに対するワクチン接種の義務付けに反対する判決を下しました。
精神衛生上の危機が続く中、運動を推奨することが、アジア諸国の政府にとってより一層、重要な課題となっています。中国の嘉定区では、市民のフィットネスを支援するため、41の学校におけるスポーツ施設を一般に開放しました。マレーシアの首相は最近、同国の市民参加型のスポーツ・コミュニティへの財政支援を約束しました。
新たな視点
各国政府が社会的利益を目的としてスポーツに投資している点は、地域全体でスポーツの価値と重要性が再認識されつつあることの表れだと言えるでしょう。かつては競争や 優越といった考え方が主流でしたが、スポーツをめぐる議論は、文化、インクルージョン、ウェルビーイングといった考え方へと移行しています。アジア全域で、インクルージョンへの取り組みが徐々に広まってきています。
シンガポールのスポーツ安全委員会は、スポーツ界における不適切な行動について明確なガイドラインを示すため、同委員会の統一規範を発表しました。日本政府は、2022年の予算において、障害者アスリートの支援に2,100万ドルを充てることを表明しています。インドネシア政府も同様に、障害者アスリート向けのトレーニングセンターの建設を確約しました。
インクルージョンとウェルビーイングへの注目は、2022年北京冬季オリンピックの外交ボイコットに関する議論再燃にもつながっています。中華圏と香港特別行政区の代表たちは、政治はスポーツに干渉すべきではないと主張している一方で、最近では米国、オーストラリア、日本からの外交ボイコットの可能性が報じられています。
新しいプレーヤーたち
スポーツ界と政府の双方において、インクルージョンが重要な優先事項となっていることから、アジアのスポーツ産業は、スポーツの新たな解釈も含めて拡大しつつあります。2022年のアジア競技大会では、eスポーツが正式種目として初めて実施され、まずは8タイトルのビデオゲームが対象となる予定です。同様に、ブレイクダンスや3×3 バスケットボールも初めて競技として実施される予定です。
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この報告書はウェーバー・シャンドウィックのインサイト&情報チーム(シンガポール)が作成したものです。
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