ストリーミング配信とアジア太平洋地域(音声)
ウェーバー・シャンドウィックの APAC Intelligence Bulletin (アジア太平洋地域情報速報)では、毎週、アジア太平洋地域の産業分野や市場を方向付ける重要な動向をお伝えしています。
- 世界有数の音楽ストリーミング・プラットフォームが利害関係者からの批判にさらされる中、音声配信産業は部門規模での変革に取り組んでいます。
- アジアにおける変革は、よりカスタマイズされた音声配信のソリューションや、多様化された音声配信カテゴリーへの投資拡大という形で表れています。
- この産業は今後も成長が見込まれますが、より細分化された部門に適応するということが、配信ブランドや通信業者にとっての課題になるでしょう。
2022年1月の時点で、世界の音楽配信市場の約50%を占めているのは、2つのブランドでした。世界有数の音楽ストリーミング・プラットフォームは、3年前から市場シェアを失っています。ここ数週間でも、誤った情報やアーティストへの報酬に関する同プラットフォームの倫理観が批判され、このビジネスは時価総額20億米ドルを失ったといいます。
移り変わる価値観
複数の競合ブランドが、市場をリードする同企業への批判を利用して、新たな契約者獲得を図りました。しかし、世界一の人気を誇るプラットフォームに対して厳しい指摘がされたことで、音声ストリーミング分野の倫理観や期待をめぐる議論が活発になっています。英国競争・市場庁は、今後数カ月の間に音声ストリーミングの倫理性について調査する計画を発表しています。
アジアにおいては、このような変革がより急速に進んでいます。例えば、過去1年間で、より専門性の高いストリーミング・プラットフォームがアジア各地で浮上しています。インドでは、マラヤーラム語の音楽のストリーミング・サービスが最近開始されました。タイでは、同国最大の音楽業界ブランドがタイ語のストリーミング・サービスを新たに開始しました。太平洋諸島のプラットフォームは、最近、サービスをパプアニューギニアまで拡大しました。
このような動きは、世界の音声配信部門の細分化とローカライズの象徴とも言えるでしょう。また、この傾向は、アジアや諸外国が多種多様な音声配信に投資するようになったことにも表れています。台湾で業界2位の通信ブランドは、最近、大手ポッドキャスト/ラジオ会社と提携しました。世界第2位の人気プラットフォームは、2021年後半にHi-Fi音質のロスレスオーディオ機能を導入しています。
多様化が進む世界
このような動向や投資は、世界の情勢を反映していると言えます。この市場のトップ企業は昨年より、社会的に阻害されたクリエイターたちによるポッドキャスト、オーディオブック、コンテンツに大規模な投資を行ってきました。ある競合社は最近、中国の大手音声配信会社と契約を結び、プラットフォームにおける中国語コンテンツの普及を図りました。
アジア地域と諸外国において、音楽配信は継続的な成長が見込まれています。アジア地域の音楽配信の市場規模は、2027年までに130億米ドルまで成長すると予想されています。しかし、この成長には大きな混乱が伴うでしょう。音声の種類や言語、投資家、技術などが新しくなり、今後数年間で、この部門は消費者や企業にとって、さらに多様化し、変化に富んだものになることが予想されます。
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この報告書はウェーバー・シャンドウィックのインサイト&情報チーム(シンガポール)が作成したものです。
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