ストリーミング配信とアジア太平洋地域(動画)
ウェーバー・シャンドウィックの APAC Intelligence Bulletin (アジア太平洋地域情報速報)では、毎週、アジア太平洋地域の産業分野や市場を方向付ける重要な動向をお伝えしています。
- アジアの動画配信(ストリーミング)部門は、パンデミックの影響で視聴者数が急増し、ストリーミングサービス業者も増加し続けており、競合激化の時代へと突入。
- アジア地域全体で、ストリーミングサービス業者は、不満を抱えた消費者や、様々な政府やメディア部門との対立に対処しています。
- 関係性を強化し、市場シェアを拡大するために、多くの企業がアジア太平洋地域向けのローカルコンテンツに投資しています。
パンデミック時代に大きな成長を遂げた産業の一つである動画配信サービス。大手配信業者においては、2020年から2021年にかけて獲得した新規加入者は1億人を超えたといいます。最近の報告書では、アジア太平洋地域における動画配信サービスの今後10年間の年平均成長率は21%になると予測されています。しかし、継続的な成長の影響でこの業界は現在深刻な混乱状況に陥っています。
新たな競争
この業界が隆盛を極める中、動画配信ブランドやサービスはアジア太平洋地域において新たな基準が求められています。最近のあるグローバルレポートによると、インドのストリーミング・ユーザーの70%が視聴体験に不満を感じていることが判明しました。また、同じ調査では、世界の対象者の3分の1が、今後1年間にサブスクリプションの出費を削減したいと思っていることも明らかになっています。
消費者だけでなく、行政機関や他業種からも、ストリーミング部門に注目が集まっています。オーストラリアの業界団体は、ローカルコンテンツの制作資金として、ストリーミング企業に対し、20%の収益課税を義務付けることを提案しています。タイ政府は 今年1月、世界有数のストリーミングサービス業者と、ローカルコンテンツ制作会社との会議を開催し、国内企業とストリーミングサービス企業との関係改善を図りました。
動画配信産業の成長により、他の産業部門からの関心が高まる一方で、対立も起きています。世界第3位のSNSは現在新しい動画配信機能を試行しているところです。その一方で、オーストラリアの映画館ブランドは、新作映画のストリーミング配信が映画館から収入を奪っているという理由から、ハリウッドの大手スタジオを提訴しています。
地方への還元
アジアの政府にとって、パンデミックを経て得られた、ストリーミングの主なメリットの1つに、国内の農村部や地方地域へのリーチ拡大がありました。最近の調査によると、中国とインドでは、ストリーミングとeコマースを通じて、2021年に初めて農村部の新視聴者獲得に成功したことが明らかになっています。地方との関係性強化と市場シェア拡大を目指し、動画配信会社はローカライゼーションに多額の投資を行っています。
世界有数の動画配信グループ会社は、ニュージーランドのプロクリケット試合をライブ配信するサービスを立ち上げました。世界最大の有料動画配信ブランドは、同社のサービスにおける日本語字幕付きコンテンツを2022年に15%増加させる計画を発表しています。また、世界で最も急成長を見せている、ある有料サービスは、2021年にアジア市場向けに20の新規プロジェクトを発表し、2023年までには更に50のプロジェクトにゴーサインを出す計画です。
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この報告書はウェーバー・シャンドウィックのインサイト&情報チーム(シンガポール)が作成したものです。
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