COP27とアジア太平洋地域への影響
- 最近開催された国連気候変動枠組条約第27回締約国会議(COP27)では、途上国への気候変動対策資金を提供するための国際合意が成立したことが評価された一方で、専門家からは機会を無駄にしたとの批判が相次ぎました。
- その結果、アジア太平洋地域の政府・ブランド・ビジネス部門は、地域におけるサステナビリティへの取り組みを強化・再認識することに注力しています。
- また最近では、各国における気候変動への取り組み状況を、複数の国内規制当局が厳密に審査するようになっています。
- このような厳しい環境下で、アジア太平洋地域の多くの政府は、特にEU諸国との外交パートナーシップを発表・拡張しています。
国連の気候変動枠組条約第27回締約国会議(COP27)が閉幕し、気候変動の被害が深刻な途上国に対する「損失と被害」基金の設立に190カ国が合意したことは、気候変動との戦いにおける歴史的な出来事として称賛されました。しかし、ノルウェーやEU諸国の政府関係者を含む一部の関係者の間では、この会議が残念な結果に終わったと批判されています。
信用と信頼性
これを受けて、アジア太平洋地域の指導者や関係者たちは、持続可能性に対する取り組みを再確認・強化しようと努めています。例えば、インド政府は最近、次回の20カ国・地域首脳会議(G20サミット)でバイオ燃料に関する国際同盟設立を提案すると発表しています。また、世界最大級の複合企業のアジアCEOは、同社の公約として、2030年までに全事業所の50%を再生可能エネルギーに依存する方針を改めて表明しています。
タイ政府は、脱炭素移行に向けた国際的な取り決めに署名することを発表し、カーボンクレジット制度に関する国家ガイドラインをすでに策定しているとのことです。オーストラリア健全性規制庁は、拡大しつつある気候変動リスクを同国の金融機関が適切に対処できるよう、気候変動リスク専門チームを結成したと発表しています。
厳しい評価
その一方で、アジア太平洋地域の各政府による持続可能性への取り組みに対して、厳しい規制の目が向けられています。ある世界的な気候変動研究団体は、シンガポールが新たに設定した気候変動対策の目標値を「決定的に不十分」と評しています。オーストラリアとニュージーランドの政府当局は先日、サステナビリティの目標に関して両政府に進展が見られないと批判する評価を公表しています。
強力なパートナーシップ
COP27開催直後、アジア諸国政府の多くが、持続可能性をめぐる外交パートナーシップを強調し、特にEUとの繋がりに注目しました。中国とインドは共に、EUとの新たな持続可能性プロジェクトを発表しています。中国、インド、シンガポール、インドネシア、ニュージーランドも、それぞれEU加盟国との提携を表明したとのことです。
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