COP28 – 12月6日
2023年国連気候変動枠組条約締約国会議(COP28)において、アジア太平洋地域の指導者たちが中心的存在となりました。APAC諸国の中には、気候変動目標を達成するため、再生可能エネルギーを支援し、化石燃料の消費を削減し、他地域への支援を強化するといった、積極的な第一歩に踏み切る国も見受けられました。
- 「損失と損害」基金:世界の指導者たちは、待望の「損失と損害」基金loss and damage fundの運用開始について、ようやく合意に至りました。この基金は、破滅的な気候変動に悩まされている開発途上国に対して資金援助を提供するもので、たとえその国が気候変動問題に多大な貢献をしていなかったとしても適用されるものです。日本はこの基金に1000万ドルを拠出するJapan will contribute旨を表明しました。
- 再生可能エネルギーの3倍拡大と化石燃料の段階的廃止: 再生可能エネルギーとメタンガスに関しては進展が見られたものの、化石燃料は依然として論争の的となっています。オーストラリアAustraliaを含む118カ国政府は、2030年までに世界の再生可能エネルギー容量を3倍にすることを約束しました。 しかし、この公約は化石燃料の使用削減とセットになっており、中国やインドでは、急増する電力需要の確保に化石燃料の使用が不可欠であるため、両国はこの公約への賛同を見送りました。インドは、化石燃料の段階的廃止という提案を静観India will adopt a wait-and-watch approachする方針です。
- オーストラリア、海外での化石燃料拡大への融資を終了: アルバニージー政権は、2年前にグラスゴーで初めて合意された、クリーンエネルギー移行に向けたパートナーシップに、他の40カ国とともにjoined 40 other countries署名したと発表しました。このパートナーシップは、 OECD加盟国に対して、化石燃料への国際的な融資終了に向けた新規制の策定を目的としており、署名国は12ヶ月以内に石炭、石油、ガスへの海外支援を段階的に廃止することを義務づけられています。
- 日本と石炭の関係:日本は、再生可能エネルギーの容量を3倍に引き上げるto agree to triple renewable energy useことに合意し、石炭への依存を減らすと表明する見通しです。岸田文雄首相はまた、排出削減対策の講じられていない石炭火力発電所の新設を中止すると宣言vowed to stop building new coal-fired power plantsしました。日本はすでに温室効果ガス排出量を20%削減し、2030年までに2013年比で46%削減するという目標に向けて前進しています。排出量削減に向けて、日本は既存の発電所において、ガスや石炭と一緒に、水素やその誘導体であるアンモニアを燃焼させる取り組みを促進しています。
- メタンガスの規制強化: 米国、アラブ首長国連邦(UAE)、中国US, UAE, and Chinaをはじめとする主要排出国は、メタン排出に関する一連の声明を発表しました。中国のメタン排出抑制に向けた行動計画plan to control methane emissionsは批判の的となっていますが、中国の気候変動特使である謝振華氏Xie Zhenhuaによると、中国は、石炭採掘や石油部門からの再利用を含め、メタン排出抑制対策を講じてきたtaken measures to control methane emissionsとしています。
- アジア開発銀行(ADB)、アジア太平洋地域で取組みを開始: アジア開発銀行(ADB)は、複数の機関と共同で、アジア太平洋地域における「自然解決策金融ハブ(Nature Solutions Finance Hub)」を立ち上げました。これは、資本市場および民間資本に着目し、自然を基盤とした解決策を取り入れた投資計画に向けて、少なくとも20億米ドルの資金調達を目的としています。ADBはまた、地域で深刻化している熱ストレスを研究する支援プログラムnew assistance programを開始し、熱ストレスが女性に及ぼす悪影響について調査した上で、女性や少女への影響を緩和するための政策や活動、投資などを特定していきます。このプログラムは、バングラデシュ、カンボジア、パキスタン、スリランカ、タジキスタンで実施される予定です。
- シンガポール金融管理局(MAS)、「シンガポール・アジア分類法」を発表: シンガポールは、8つの主要セクターにおいて気候変動緩和策を促進するため、銀行や金融機関に対し、グリーンな事業活動や、まだグリーンではないがネットゼロ・エミッション達成に向けた移行活動への融資に関する新たな基準new criteriaを設定しました。これにより、銀行や金融機関による「グリーンまたはトランジション・ウォッシング」のリスクが軽減され、移行活動が長期的にグリーン基準を満たすことが可能となります。
- インドがグリーン・クレジット・イニシアチブ(GCI)を開始: インドのナレンドラ・モディ首相は、極めて重要な場面で、グリーン・クレジット・イニシアチブGreen Credits initiative.を発表しました。この制度は、環境保護活動を奨励し、持続可能な開発を促進することを目的としたものです。また、カーボン・クレジットの代替策としても期待されており、インド環境省が10月に開始したグリーン・クレジット・プログラムの一環でもあります。クレジットはまず、水源保護と植林に関する活動に焦点を当て、発行される予定です。
- シンガポール、複数の暫定的なカーボン・クレジット取引に合意: シンガポールは、パリ協定第6条に基づくカーボン・クレジット取引を開始するため、ブータンおよびパラグアイとの個別交渉で「実質的な合意substantively conclude」に至りました。また、ルワンダ、フィジーともカーボン・クレジットに関する協力覚書を締結しています。
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- このニュース速報は、アジア太平洋地域のビジネス部門に関する出来事や進展についての報道記事を要約したものです。
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