イスラエルとハマス 10/20
イスラエル・ハマス紛争の激化を受け、アジア太平洋地域、特にASEANでは政治的な結束が崩れつつあります。主に石油の供給・価格という経済的影響に対する懸念が高まっており、各国は状況を慎重に監視している状態です。バイデン米大統領によるイスラエル訪問は、現時点で議論の火種になっていないものの、ガザ市のアル・アハリ・アラブ病院が襲撃されたことで、アジアの指導者や人々からさまざまな声が上がっています。また、SNS各社に対して、紛争に関連する偽情報、テロ関連コンテンツ、ヘイトスピーチへの対策を求める圧力も高まっています。
- 専門家たちは、イスラエル・ハマス紛争に対するASEAN内の異なる姿勢が、アジア地域の結束に影響を与えかねないとの懸念を示しています。ASEANは一貫して、中東の平和と安定のためには、包括的で公正かつ持続可能な解決策が必要だと主張してきました。しかし、この紛争に対するASEAN諸国の見解は多様であり、統一的な姿勢が欠如していることから、グローバルな舞台におけるASEANの存在感が損なわれる可能性もあります。ASEAN と湾岸協力会議(GCC)との初の首脳会議が、2023年10月20日にリヤドで開催されますが、ASEANはこの会議において、紛争に対する共同声明を出すことが期待されています。
- 紛争がアジアに与える経済的影響への懸念。10月20日、ガザの病院で起きた爆発は、危機収束への期待に打撃を与え、アジアの株価は低迷。アジア太平洋地域経済見通しの記者会見で、IMFアジア太平洋局長のクリシュナ・スリニバーサン氏は、IMFは紛争が世界経済に与える影響を今もまだ評価中であるが、紛争が原油価格を押し上げる可能性があり、その結果、世界各地の物価が上昇する可能性があると述べています。アジアは石油の輸入に依存しているため、情勢の緊迫化は輸送タンカーの航行に影響を及ぼし、保険料や輸送費の上昇を招く恐れも。アジア地域で負債を抱えている国々は、最も深刻な被害を受けることになるでしょう。
- バイデン大統領によるイスラエル訪問は、アジア諸国やアジア指導者たちの間では、まだ大きな反響を引き起こしていない状況です。メディアやSNSにおいては、バイデン氏がイスラエル訪問中に述べた内容や、アメリカがイスラエルへの戦時支援として、数十億ドルの追加予算を投下することについての情報を共有することに重点が置かれています。
- ガザ市のアル・アハリ・アラブ病院での爆発について、各国の首脳は、懸念や恐怖、非難といった様々な反応を示しています。この事件は、マレーシアとインドネシアがパレスチナ人を支援する姿勢をさらに強める結果となりました。中国とインドは衝撃と非難の意を表明し、シンガポールのリー・シェンロン首相、ターマン・シャンムガラトナム大統領、ヴィヴィアン・バラクリシュナン外務大臣はパレスチナ自治政府に弔電を送っています。
- 病院での爆発事件をめぐり、アジア各地の都市でも抗議デモが発生しています。パキスタンでのデモ活動は、パレスチナ人への連帯表明にとどまらず、西洋諸国に対する敵意を強めた姿勢を見せています。シンガポール当局は、イスラエル・ガザ戦争Israel-Gaza warに関する公的行事を行おうとする市民からの許可申請をすべて拒否すると発表。この措置は、通常、抗議活動に警察の承認が必要とされていない、シンガポール唯一の「言論の自由区域」にまで及んでいます。
- X/ツイッターでは、ここ数日、紛争に関する発言が増加。以前は、紛争に関するニュースを共有するのが主流でしたが、今では、紛争の恐怖、特に病院での爆発と民間人への影響について、より個人的な意見を述べる人が増えています。しかし、このようなネット上での議論の活発化に伴い、SNS企業、特にTikTok、Meta、Xは、暴力的なコンテンツ、ヘイトスピーチ、偽情報の取り締まりを迫られています。この圧力は、EUが現在、TikTokとMetaに対し、紛争の偽情報を取り締まるための企業としての取り組みを詳述するよう要請していることもあり、さらに強まっています。
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- このニュース速報は、アジア太平洋地域のビジネス部門に関する出来事や進展についての報道記事を要約したものです。
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