
イスラエルとハマス 10/27
イスラエルとハマスの戦争が激化するなか、人道的な被害に対する懸念が高まり、アジアでは支援や援助を表明する国が増えています。アジア諸国は、自国民がガザに残され、攻撃に遭っていることを苦慮している状況です。
IT企業は偽情報対策への取り組みを進めてきたものの、現在では、親パレスチナ的な情報が検閲されているとの反発や非難に直面しています。また、この紛争が来期以降の広告収入に与える影響を懸念している企業も見受けられます。
- 人道上の危機的状況が深刻化するなか、アジア各国は援助や支援を提供するための努力を続けていますが、国連やNGOは援助をガザまで確実に届けるのに苦戦しています。マレーシアのアンワル・イブラヒム首相は、エジプトが、マレーシアによるパレスチナ人への人道的援助を支援することを約束したと発表しています。インドネシアのマルフ・アミン副大統領によると、援助はすでにパレスチナへ送られているものの、ガザには十分に届けられていないとのことです。国連安全保障理事会(UNSC)では、インドの国連常駐副代表(DPR)であるR・ラビンドラ大使が、ガザの市民に人道支援を送るインドの取り組みについて改めて強調し、イスラエル・パレスチナ問題の2国家解決を呼びかけました。日本の上川陽子外相は、原油の輸入に強く依存している日本にとって極めて重要な中東地域の安定について話し合うため、イスラエルを訪問することを検討しています。さらに日本は、ガザでの戦争で被害を受けた国内避難民(IDP)を支援するため、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)に700万米ドルを拠出しました。
- アメリカ国防総省の元高官は、東京で開催された富士山会合で講演し、中国がハマスの奇襲攻撃を非難しなかったことで、イスラエルとの間に摩擦が生じたと指摘しました。これは、この危機に対するアメリカの対応を中国が観察し、インド太平洋における自国の立場を慎重に検討しているためと見られています。これとは別に、イスラエルは、ハマスの攻撃を非難した台湾について「台湾は良き友人だ」と述べています。台湾とイスラエルは国交がないものの、重要な民主主義のパートナーとみなされています。マレーシアのアンワル・イブラヒム首相は、16,000人のパレスチナ支持者と共に、ガザ地区での「野蛮な」行為を非難し、パレスチナへの支持を表明しています。
- アジア諸国は紛争地域に巻き込まれた自国民の安全確保に奔走し続けています。インドネシア人によって設立されたガザ地区の病院は、最近、電力不足に陥ったため、そこで援助活動をしている人々は、燃料を求めて四苦八苦している状況です。タイでは、ハマスによって拘束されている200人の捕虜の中に17人のタイ国民がいるとみています。
- IT企業は、間違った情報を規制する努力を強化している一方で、その努力が検閲とみなされ、反発に直面している企業もあります。マレーシアのファフミ・ファジル通信デジタル大臣は、TikTokがマレーシアのコンテンツを削除したことに怒りを表明し、厳正な処分を求めています。削除されたコンテンツには、マレーシア首相の演説やガザに関する写真も含まれていたということです。
- メッセージングアプリのTelegramは、ハマスが運営するチャンネルへのアクセスを制限し、同グループのネット上での影響力を制限しています。Metaは、セキュリティ侵害の前兆があるとして、親パレスチナ派のアカウントをブロックしたと発表。このように複数のアカウントに混乱が生じたことで、フォロワーの間で怒りの声が上がり、Twitter/Xへの投稿も炎上しています。フォロワーの中には、このようにページを削除することは、反パレスチナ的コンテンツに対する検閲の一例だと受け止めている人たちもいます。グーグルのAIであるBardもまた、この危機問題に関するユーザーからの指示や質問に応答していないため、この問題をめぐる一切の回答を検閲している模様です。
- 全世界では、150以上のグローバル企業がハマスによる最初の攻撃を非難する声明を発表しているものの、アジアの企業はこの紛争にどう対応すべきかを模索し続けています。さらに、このような声明はパレスチナ民間人への同情を示すには不十分であり、企業が明確な立場を取っていないことによって、従業員が双方の支持を表明してしまうとする声もあります。例えば、イスラエルにあるマクドナルドのフランチャイズ加盟店は、イスラエル軍兵士に食事を寄付すると発表しましたが、これは消費者の反発を招き、中東にあるフランチャイズ加盟店はこの動きから距離を置くようにと呼びかけています。
- 広告収入への不確実性が懸念材料に。(Snapchatの運営会社である)Snapは、イスラエルとハマスの紛争を受け、10月にSnapchatの広告キャンペーンを一部休止したと発表しています。Metaでさえ、第4四半期の広告費はより控えめになるだろうと述べています。しかし、EコマースやゲームのようなIT主要産業においては、依然として強い広告需要が見込まれています。
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- このニュース速報は、アジア太平洋地域のビジネス部門に関する出来事や進展についての報道記事を要約したものです。
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