アジア太平洋地域におけるメタバース
ウェーバー・シャンドウィックのAPAC Intelligence Bulletin(アジア太平洋地域情報速報)では、毎週、アジア太平洋地域の産業分野や市場を方向付ける重要な動向をお伝えしています。
- アジア全域でメタバースソリューションへの投資が拡大中。
- 様々な部門が、現在の人材不足問題や、ハイブリッド型オフィスへの需要といった問題をメタバースで解決できると考えています。
- アジア太平洋地域で特にメタバースの成長が見られるのは、教育部門と自動車部門。
- しかし、メタバースへの関心と理解が浸透していないため、成長が遅れる可能性も。
中国の大手複合企業は、メタバースでのサービス拡大に向けて、世界最大のモバイルネットワークとの新たな契約を発表しました。最近のレポートでは、インドのメタバース部門は2030年までに6790億米ドル規模になると推定されています。韓国では、あるベンチャー企業がメタバース内に30階建ての高層ビルを建設し、国内外の企業にバーチャルオフィス・スペースを貸し出しているそうです。
可能な解決策
各産業が直面しているさまざまな障害の解決に、メタバースが役立つことが期待されています。ある調査によると、対象となったシンガポール企業の54%が、ビジネス・コストを削減するために来年中にデジタル化を計画していることが分かりました。オーストラリアの銀行を対象とした調査では、91%がメタバースは二酸化炭素排出量の削減につながると考えており、55%がすでにメタバースに投資していることが明らかになっています。
中国のアモイ市の地方裁判所は最近、法律を学ぶ大学生を対象にメタバースでの審理を2回実施しており、当局はこの手法が中国の司法制度における透明性と効率性を促進するのに役立つと述べています。中国では最近、6つの行政機関と10の地方自治体がメタバースへの新たな投資を発表しています。
成長分野
特に近年注目されているのが教育分野への投資です。インドのチェンナイにある5つの公立学校では、教師と生徒を対象としたメタバース・プログラムが開始されました。インドと中国の大学では、最近、メタバースに関する新たな取り組みがスタートし、中国の大学では学科の名称を「メタバース工学部」へと改称しています。
また、アジアの自動車部門もメタバースへの投資に注力しています。世界第9位の自動車メーカーは、韓国主導で、香港特別行政区に拠点を置くメタバース・プラットフォームとの新たな提携を発表しました。韓国の自動車関連の多国籍企業は最近、インドで最新の製品ラインを発売し、このラインにはメタバースのゲームプラットフォームが導入されています。フィリピンの自動車ブランドは、メタバースを工場に活用する取り組みを進めています。
さまざまな視点
しかし、消費者の意識と投資家の意識には差異があるようです。今年初めに行われた消費者調査では、回答者の35%がメタバースという言葉を知らなかったという結果が出ています。さらに最近の調査では、オーストラリア人の3分の2がメタバースになじみがないことが明らかになっています。
関連記事
アジア太平洋地域におけるエンターテイメント
Entertainment & APAC
アジア太平洋地域における2022年のリテール体験
Asia Retail Experience in 2022
アジアにおけるマーケティングキャンペーン
Marketing Campaigns in APAC
この報告書はウェーバー・シャンドウィックのインサイト&情報チーム(シンガポール)が作成したものです。
アジア太平洋地域の様々な産業分野に関する定期的な情報については、ウェーバー・シャンドウィックのアジア太平洋地域情報サービスをご購読くださいsubscribe to Weber Shandwick’s APAC Intelligence alerts。