アジア太平洋地域における高齢者介護
- アジア全域で高齢化が進む中、各国の地域社会では高齢者が適切なケアを受けられるよう、新たな支援体制の構築に取り組んでいます。
- 高齢者は特にウイルスに対して抵抗力が弱く、新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、高齢者ケアの必要性は高まり、状況は複雑化しています。
- 特に農村部では高齢者ケアが不十分であるため、多くの市場では高齢者に手を差し伸べ、寄り添うための施策に苦慮しています。
- アジアの高齢者支援には、テクノロジーの活用が今後不可欠になるかもしれません。
オーストラリアでは、高齢者虐待を防止するための新たな制度が設けられ、昨年度には37,000件を超える深刻な被害の報告がありました。中国では最近、何百人もの定年退職者が街頭に集まり、医療補助の減額に抗議するデモが行なわれました。シンガポールでは、定年退職者の歩行者事故がこの1年で約2倍に増加したといいます。
拡大する問題
アジア太平洋地域は、現在、世界の高齢者人口の3分の2近くを占めています。高齢化が進む中、各国政府、企業、地域社会は、さまざまな形で高齢者支援体制の整備・向上に取り組んでいます。
シンガポールでは、新たな高齢者ケアセンターが開設され、高齢者が自宅を離れて生活することなく、必要に応じて継続的なケアを受けられるというフレキシブルな介護サービスが導入されました。フィリピンでは、高齢者の健康増進を目的とした栄養管理計画が政府により制定されました。
新型コロナウイルス感染症の拡大により、アジア太平洋地域では高齢者介護への負担がさらに高まり、各方面から厳しい目が向けられています。中国では、高齢者患者の順調な回復をより確実なものにするため、医師たちは、新型コロナウイルスの治療と並行して、高齢者の既存疾患を同時に治療するという方針を打ち出しています。
人とのつながり
この地域が抱える大きな問題のひとつに、人との健全なつながりを保つということがあります。インド、シンガポール、マレーシアの政府当局は最近、高齢者が道に迷ったり、身近な人と連絡が取れなくなったりするのを防ぐための新たな取り組みを開始しました。
このような問題は、特に農村部や辺境の地において顕著に見られます。西オーストラリア州のある都市では、国内初となる、先住民向けの高齢者ケアセンターが開設されました。韓国の離島コミュニティでは、政府が保有する5隻の病院船に頼ることで、人々が専門的な医療サービスを受けられるようになっています。
テクノロジーの活用
高齢者介護にはテクノロジーの活用が必要不可欠であることが明らかになってきています。シンガポールでは、新たなスマートフォン用アプリによって、認知症患者やその家族へのサポートが強化されています。日本で発表された最新の研究によると、定期的にビデオゲームをすることが高齢者の認知能力を向上させる可能性があることが明らかになりました。
アジアの高齢者層では、テクノロジーへの関与が高い傾向にあります。中国での最近の調査では、高齢者の半数以上がスマートフォンを定期的に使用していることが分かりました。タイでは、高齢者にデジタル体験を届けることを目的とした地元のコミュニティクラブが、最近23周年を迎えました。
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APAC Intelligence Bulletin(アジア太平洋地域情報速報)は、ウェーバー・シャンドウィックのAPACインテリジェンス・コミュニティが作成したものです。APACインテリジェンス・コミュニティーの専門知識を活用されたい方はこちらまでget in touchご連絡ください。