アジア太平洋地域:2023年の経済見通し
- アジア太平洋地域2023年の経済見通しに対する評価は慎重であり、専門家は成長を見込むものの、ここ数カ月においてはその予想を引き下げています。
- 主な懸念事項として挙げられるのは、中国での新型コロナウイルス感染拡大による景気低迷や、世界同時不況の可能性などです。
- 産業別では、アジア全域の不動産業や旅行業が苦境に立たされると専門家は予想しています。
- しかし、このような困難が予想される一方で、2023年のアジア太平洋地域の経済成長率は、世界全体の経済成長率を上回ると予想されています。
国際通貨基金(IMF)の専務理事は、2023年における中国の経済成長率が40年ぶりに世界全体の経済成長率を下回ると予想しました。アジア開発銀行は、中国のコロナ感染者数増加を理由に、2023年のアジア経済成長率予測を4.9%から4.6%に修正しています。
慎重な楽観傾向
2023年のアジア経済の見通しは、総じて良好な評価を受けています。世界銀行とアジア開発銀行はともに、2023年のインド経済は約7%の成長を遂げると予想しています。アジア開発銀行は最近、フィリピンと東南アジアの成長率見通しも同様の水準に引き上げています。
一方で、専門家は起こりうる困難や不確定要素も見込んでいます。シンガポールの貿易省は最近、中国におけるコロナ状況が混乱を招く恐れがあるとして、2023年の成長予測を下方修正しました。イギリスの大手経済コンサルタント会社による予測では、2023年に世界中が不況に陥るとされています。
影響を受ける分野
業界によっては、2023年にはさらなる混乱が予想されています。あるグローバルな商業不動産コンサルティング会社によると、インフレ、金利上昇、地政学リスクなどの懸念から、アジア太平洋地域の不動産投資は今後1年間で5%から10%減少すると予想されています。
同時に、アジア太平洋地域の航空会社においては今年も赤字になることが予想されています。国際航空運送協会(IATA)の予測では、アジア太平洋地域の航空会社は2022年に100億米ドルの損失を被り、2023年にかけても60億米ドルの損失を被るとされています。航空業界の団体によると、中国のコロナ規制が緩和されれば、状況は好転する可能性もあるとのことです。
厳しい時代
しかし、アジア太平洋地域の経済成長は、依然として世界全体の経済成長を上回ると予想されています。国際通貨基金(IMF)は、2023年の世界全体の経済成長率を2.7%と予測しているのに対し、アジアでは同時期に4%の成長が見込まれています。世界貿易機関(WTO)も同様に、アジアの貿易成長率は、世界全体の貿易成長率を僅差で上回ると予想しています。
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