アジアにおけるジュエリー/アクセサリー事情
ウェーバー・シャンドウィックのAPAC Intelligence Bulletin(アジア太平洋地域情報速報)では、毎週、アジア太平洋地域の産業分野や市場を方向付ける重要な動向をお伝えしています。
- アジア地域の大半でパンデミック関連の規制緩和が行われたことにより、ジュエリーとパーソナルラグジュアリーの分野では、アジアの複数の市場で売上が大きく伸びています。
- しかし、持続可能性と供給をめぐる問題が、この分野の継続的な成長を妨げる恐れもあります。
- アジア地域のジュエリー産業の多くは、新製品や新しいアプローチへの多様化によって今後の混乱に備えています。
- しかし、多くの国で生活費が上昇する傾向にあるため、今後、より大きな試練が訪れると予想されます。
アジアは現在、世界の高級ジュエリー市場の約45%を占めています。2020年には小売店の閉鎖により市場が縮小したものの、ここ数ヶ月はパーソナルラグジュアリーやアクセサリーの市場が大きな成長を見せています。中国のジュエリー部門は2022年第1四半期に7.8%の成長率を記録し、インド最大のジュエリーチェーンは最近、前年同期比26%の成長率を報告しています。
最近の不確定要素
しかし最近の動向には、この産業の成長を脅かす要因がいくつかあります。世界のダイヤモンド原石の3分の1は従来ロシアで採掘されていましたが、ウクライナとの戦争をめぐる制裁措置の影響で、世界の高級品貿易に大きな支障が出ることが予想されます。また、供給量の減少により、インドのダイヤモンド販売業者は次の四半期に最大25億米ドルの売上損失を被ると予想されています。
また、ミレニアル世代やジェネレーションZの人々の意識の変化により、この業界はさらなる混乱に直面しています。世界最大のダイヤモンドブランドは、エシカルでないダイヤモンド採掘に対する人々の懸念に応え、ブランド初となる(研究所で誕生した合成ダイヤモンド)ラボグロウンダイヤモンドのラインを最近立ち上げました。マレーシアで大成功を収めたジュエリーブランドは、エシカルに調達された原石と、 女性主導のデザインによって、ブランドアイデンティティの大きな差別化を図っています。
レジリエンス(回復力)の構築
数年にわたって続いた混乱に対応するため、アジア地域のアクセサリーブランドは、主に事業の多角化を進めています。ニュージーランドでは、個人に合わせたラグジュアリーな体験へのニーズが、若い世代の間で高まっていることから、カスタムメイドのシグネットリング(印台リング)を取り扱うビジネスが誕生しました。世界有数のeコマースブランドは、ダイヤモンド、宝石、アクセサリーの新たな調達先としてタイを選定しています。
上昇するコスト
この業界が直面する最大の問題は、インフレと生活費の高騰から起こることが予想されます。インドの宝石商によると、同国の新たな金の評価基準である「ホールマーク(検定マーク)」の導入に伴い、売り上げが低品質のゴールドジュエリーに移行しつつあることが報告されています。シンガポールでは、ラボグロウンダイヤモンドのベンチャー企業が次々と参入し、 ダイヤモンドジュエリーを大幅に値下げして消費者に提供しているとのことです。
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この報告書はウェーバー・シャンドウィックのインサイト&情報チーム(シンガポール)が作成したものです。
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