出張とアジア太平洋地域
ウェーバー・シャンドウィックのAPAC Intelligence Bulletin(アジア太平洋地域情報速報)では、毎週、アジア太平洋地域の産業分野や市場を方向付ける重要な動向をお伝えしています。
- 最近のデータによると、アジア太平洋地域の複数の市場において、ビジネストラベルが2020年以前の水準に戻りつつあるようです。
- しかし、この回復が2023年以降も続くかについては意見が分かれています。
- 出張費の高騰や、サステナビリティに対する企業の懸念から、今後の出張需要は伸び悩むとの見方もあります。
- その一方で、旅行業界の人手不足が解消されつつあること、また、各地域で旅行業界への投資が拡大していることから、将来的にビジネストラベルが盛んになるとの見方もあります。
最近のグローバル調査によると、各航空会社は、2022年末までに法人旅行が2020年以前の水準に戻ると予想しています。オーストラリアにおける出張支出は、現在、パンデミック以前の90%の水準に位置しているとのことです。インドでは、ビジネス旅行者の再訪により、2022年を通して、国内ホテルの稼働率が2019年の水準を上回る状況が続いています。
複雑な要因
アジア全域で、国境措置の緩和とワクチン接種の普及により、出張の各種分野が復活傾向にあります。しかし、出張の継続的な回復には、様々な要因が大きく影響する可能性があります。ビジネストラベルに関する最近のグローバル調査では、完全な回復は2026年まで見込めないとも言われています。
主な懸念事項として挙げられるのは、高騰する出張費用です。この業界における世界的な動向を見ると、企業の出張費は2022年末までに8%増加すると予測されています。また、サステナビリティを重視する企業が増えていることも要因のひとつです。例えば、インドの企業を対象とした調査では、96%が出張においてサステナビリティを優先していることが分かりました。
チャンスとなる要因も
より明るい未来を示唆する要因もあります。マレーシアの主要なイベント施設では、海外からの法人旅行予約が2024年まで継続的に入っていることが報告されています。ヨーロッパ各地の空港は2022年、大きな混乱に見舞われたものの、大手の法人旅行専門会社は、アジアからヨーロッパへの渡航計画には、ほとんど変更がないまま進められていると報告しています。
アジアでは、オーストラリアとニュージーランドの主要航空会社が、2022年の飛行機旅行をめぐる混乱は終息したと表明しています。香港特別行政区と中国本土は、最近、出張者の入国基準を緩和したところです。アジア太平洋地域のビジネストラベル・マネジメントの担当者を対象とした最近の調査では、76%が予算の増加を見込んでいることが分かりました。
投資か撤退か
出張部門の先行きが不透明なことから、さまざまな戦略的アプローチが取られています。日本第2位の航空会社は、ビジネストラベルの停滞を見越して、3,000人の従業員を配置転換させたとのことです。その一方で、世界最大級のホテルチェーンは、ビジネスマンや企業向けに簡略化された請求システムを発表しています。
関連記事
MICEとアジア太平洋地域
MICE & Asia Pacific
アジアにおける採用&人事事情
Recruitment & HR in Asia
アジア太平洋地域における営利保険
Commercial Insurance in APAC
この報告書はウェーバー・シャンドウィックのインサイト&情報チーム(シンガポール)が作成したものです。
アジア太平洋地域の様々な産業分野に関する定期的な情報については、ウェーバー・シャンドウィックのアジア太平洋地域情報サービスをご購読くださいsubscribe to Weber Shandwick’s APAC Intelligence alerts。