アジア太平洋地域における感染症
ウェーバー・シャンドウィックのAPAC Intelligence Bulletin(アジア太平洋地域情報速報)では、毎週、アジア太平洋地域の産業分野や市場を方向付ける重要な動向をお伝えしています。
- アジアの各市場でパンデミックの規制緩和が進む中、各種関係者は今後起こりうる疾病発生に懸念を抱いています。
- パンデミックの影響でワクチン接種のスケジュールが乱れ、人々の免疫力が低下していることから、アジア各国でインフルエンザの大規模流行が予想されています。
- 各国の地域社会においては、サル痘、梅毒、結核、はしかなど、さまざまな感染症発生の可能性に備え、対策を講じています。
- パンデミックを経て、各国の政府機関や研究機関、企業などが、同規模の感染を防ぐために様々な予防策や解決策を積極的に検討しています。
アジア全域において、各国が新型コロナウイルス感染症のパンデミック対策を引き続き緩和しています。オーストラリア、マレーシア、香港、タイ、日本、ニュージーランド、フィリピンの保健当局は最近、一般市民と旅行者に対して、コロナに関する義務を軽減することを表明しました。しかし、地域全体の関係者の多くは、(コロナや他の)感染症が今後また大流行する可能性を懸念しています。
衝撃への備え
アジア市場では、インフルエンザの流行に向けた準備が急ピッチで進められています。インド、中国、ニュージーランド、香港特別行政区、フィリピンの当局は、近い将来、インフルエンザの大規模な発生を予測しています。世界保健機関は、インドではここ数カ月でコロナとインフルエンザの併発が最大30%増加していることを警告しています。
また、多くの国では、複数の感染症が同時に発生する可能性に直面しています。日本では、すでにコロナによる死者数が過去最悪となっており、ここ数ヶ月は、同時にかつてない数の梅毒の感染者に見舞われている状況です。ニュージーランドでは、子供の予防接種率が低下していることから、専門家の中には、はしかが流行する恐れがあると警告している人も見られます。
病気発生のリスクは、複雑な環境要因によって悪化しています。例えば、パンデミックの影響により、アジア全域で小児科の予防接種スケジュールが大幅に乱れました。一方で、インド、パキスタン、オーストラリアでは洪水後に感染が急増したことから、数多くの専門家が気候変動と伝染病の関連性を強調しています。
先を見据える
幸いなことに、各国の政府機関や研究機関、企業などは、現在、そして将来の感染症発生を防ぐために、さまざまな予防策を積極的に検討しています。アジアでは、ここ数週間で結核、HIV、A 群溶血性レンサ球菌のワクチン研究が大きな飛躍を遂げました。タイ、香港、インドネシアの各政府は、現在蔓延しているサル痘を予防するためのワクチン接種プログラムを開始しています。
ワクチン以外にも、各方面の利害関係者によって、テクノロジーによる解決策(日本におけるインフルエンザのオンライン診断、インドにおけるコロナのスマートウォッチ診断)や、技術・知識の開発(中国やフィリピンにおける新しい研究施設)、治療方法の改善(タイにおける抗コロナ点鼻薬)、慈善活動の拡大(韓国とインドネシア政府による海外援助額の拡大)などが模索されています。
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この報告書はウェーバー・シャンドウィックのインサイト&情報チーム(シンガポール)が作成したものです。
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