アジアにおける趣味とフリータイム
ウェーバー・シャンドウィックのAPAC Intelligence Bulletin(アジア太平洋地域情報速報)では、毎週、アジア太平洋地域の産業分野や市場を方向付ける重要な動向をお伝えしています。
- アジア全域で、様々な立場の人たちがフリータイムやレクリエーション活動の重要性を見直しています。
- 個人においては、パンデミックや生活費高騰などの要因が、フリータイムの優先順位に大きな影響を与えています。
- 企業や政府においては、フリータイムに対する人々の意識の変化により、人材確保や、経営計画、社員の育成にも影響が及んでいます。
- 工芸などの趣味に経済効果があるとの認識が強まったことで、アジアではフリータイムに活用できる施設などを効果的に運用することが求められています。
新しい価値を求めて
パンデミックや生活費の高騰といった要因が、アジアの人々の、フリータイムに対する意識を大きく変えつつあります。インドのIT専門家を対象とした調査では、65%が複数の仕事を掛け持ちしていることが分かりました。最近の調査によると、オーストラリアの従業員のほとんどは、大幅な給与アップよりも、よりフレキシブルな勤務時間を選ぶと答えています。
アジア地域の働き手にとって自由な時間が確保できることは、さらに重要度を増しています。東南アジアの調査では、回答者の60%がよりフレキシブルな勤務体系を望んでいることが分かりました。アジア太平洋地域の調査によると、「柔軟な勤務形態」は、「給与」、「雇用の安定」に次いで、求職者にとって最も魅力的な要素であることが明らかになっています。
より自由な形へ
企業や政府は、高まりつつあるフリータイムへの要望に応えるため、新しいアイディアを試みています。シンガポール政府の大臣は、新たに週4日勤務の導入を検討するよう雇用主に呼びかけました。インドのeコマース企業は、燃え尽き症候群(バーンアウト)への対策として、2022年にも、前年と同様に、11日間の追加休暇を従業員に与える方針です。
フリータイムやレクリエーション活動の充実が、人々の心身や経済面においても様々な恩恵をもたらすことが多くの研究によって指摘されています。ニュージーランドの全国幸福度調査によると、フリータイムにボランティア活動をしている人は、していない人に比べて、生きがいを感じていることが報告されています。
最近発表された研究では、社交的・文化的・市民的な施設が充実している地域は、高齢者の認知機能の低下を防止できる可能性があることが述べられています。あるヨーロッパの調査では、自由な時間を与えられた従業員の方が、現金の報酬を与えられた従業員よりも優れた成果を上げていることが分かりました。
広がる可能性
その一方で、工芸や趣味、芸術、伝統文化といったフリータイムに行う活動に対する価値も、アジア全域で認識され始めています。中国では、竹馬芸や金漆芸などの伝統芸能を復興させるための団体が活動しています。インドでは、州政府が、地方の手工芸ビジネスに資金を提供するプログラムを新たに立ち上げました。
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この報告書はウェーバー・シャンドウィックのインサイト&情報チーム(シンガポール)が作成したものです。
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