アジアのマーケティングと広告キャンペーン
ウェーバー・シャンドウィックのAPAC Intelligence Bulletin(アジア太平洋地域情報速報)では、毎週、アジア太平洋地域の産業分野や市場を方向付ける重要な動向をお伝えしています。
- 激変する世界情勢や冷笑主義を背景に、アジア太平洋地域の消費者は、喜びや、ユーモアが感じられるブランド体験に積極的に関与しています。
- 調査によると、消費者は真正性やリプレゼンテーション(表象の公正さ)を含むマーケティングや広告キャンペーンを優先していることも判明しています。
- しかし最近の報告では、情報発信側が、人々が最も重要視しているものを提供できていない懸念が指摘されています。
- 消費者や活動団体、各国政府は、有害かつ誤解を招くようなコミュニケーション活動を制限するべく、さらなる圧力をかけています。
あるグローバル調査によると、アジア太平洋地域の消費者の89%が、ユーモアのセンスがあるブランドを好んでいることが判明しました。また、同じ調査では、アジア太平洋地域の消費者の73%が、「自分たちを喜ばせるために、ブランドにはさらに工夫できることがある」と回答しています。オーストラリアの調査によると、消費者は、ブランドが「優しさ、誠実さ、人間らしさ、脆弱さ」を具体的に表現することを求めていることが明らかになっています。
信頼できる描写
アジアの消費者は、喜びやユーモアに加えて、真正性とレプレゼンテーションを重視しています。インドで行われた最近の調査では、吹き替え版の広告よりも、その地域の言語で制作された広告の方が視聴者の関心を引くことが分かりました。また、ニュージーランドのある大学では、フォロワー数が10万人未満のインフルエンサーの方が、フォロワー数がさらに多いインフルエンサーよりも、購買行動を促進させる可能性が高いことが明らかにされています。
調査によると、消費者は信頼できるチャンネルのキャンペーンに対して、より積極的な関心を示すとされています。マレーシアでは、オンラインショッピングを利用する人の60%が、地元の販売業者を積極的に優先しているという調査結果が出ています。オーストラリアとニュージーランドの消費者を対象とした調査では、従来の広告アプローチに比べて、スポーツのライブ配信で流れる広告の方が、より好意的に受け止められていることが分かりました。
利害の対立
しかし、情報を発信する側は、人々のニーズを把握しきれていないのが現状です。アジア太平洋地域の消費者はユーモアを重視する傾向がある一方で、ブランド・コミュニケーションにユーモアを取り入れていると回答したアジア太平洋地域のビジネスリーダーは、5人に1人以下でした。最近のグローバル調査では、世界のマーケッターの83%が、社会的・政治的・環境的な課題に対して、十分な支援ができていないことが明らかになっています。
制限の対象
コミュニケーション・キャンペーンは今後数ヶ月間で、さらに厳しく評価されていくことが予想されます。アジア全域で、消費者や活動団体、各国政府などが、有害で誤解を招くようなコミュニケーションの視聴や、その影響を制限するための取り組みを行っているからです。インド政府は、ネットギャンブルの広告を禁止したほか、ブランド・コミュニケーションにおけるジェンダー・ステレオタイプの防止に向けた新たなガイドラインを発表しています。
中国では、ある女優が製菓製品をダイエットに効果的であると推奨したとして、108万米ドルの罰金を課され、その製菓会社も69万6500米ドルの罰金を課されたそうです。オーストラリアの世論調査では、国民の過半数が、ジャンクフード、ギャンブル、アルコールのマーケティング・キャンペーンの禁止を支持すると回答しています。2022年初め、日本国内で第2位の人気を誇るSNSプラットフォームは、気候変動に関する誤報広告を禁止することを表明しました。
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この報告書はウェーバー・シャンドウィックのインサイト&情報チーム(シンガポール)が作成したものです。
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