アジアにおけるメンタルヘルス
- パンデミック以降、メンタルヘルスへの意識が高まったことにより、地域全体で新たな課題が浮上しています。
- パンデミックは児童や若者の発達に影響を与えたとみられ、現在は、多くの国で若者のメンタルヘルスケアが優先されています。
- メンタルヘルスの課題は広範に及ぶため、政府や企業はさまざまな解決策を模索しています。
- しかし、アジア地域の医療資源や医療従事者は依然として限られている状況です。
インドでは、ここ2ヶ月間で約70万人の女性が国の施設でメンタルヘルスの治療を受けたといいます。ニュージーランドでは、4人に1人が過去1年間に深刻な精神病に悩まされたことがあるそうです。オーストラリアでは、歴史的なサトウキビの不作により、同国の生産者たちのメンタルヘルスに対する懸念が高まっています。
深刻化する課題
パンデミックによってアジア全域でメンタルヘルスに注目が集まる中、この地域では多くの人々や市場において、メンタルヘルスに関する新たな課題が生まれつつあります。香港特別行政区では、ロックダウン対策が保護者の不安やうつ状態を長引かせていることが研究者によって明らかにされています。
多くの国において、若者のメンタルヘルスケアは重要な優先事項として扱われています。シンガポールでは、若者たちの心のケアを支援するために、ソーシャルサービスワーカーに新たな研修が実施されています。インドのウッタル・プラデーシュ州政府は、公立学校の全生徒を対象としたメンタルヘルス診断を近々開始する予定です。
より大規模な取り組み
しかし、メンタルヘルスの問題は広範囲に及ぶことから、政府や組織は、より大勢の人々への取り組みを模索する必要に迫られています。上海では、あるオーケストラと大学が協力し、メンタルヘルスに悩む人々を対象に、特定のブレンドコーヒーと、その症状に合わせた音楽と情報をパッケージ化したそうです。
一方、インドの保険規制機関は、すべての医療保険会社に対し、メンタルヘルスの治療を保険でカバーするよう指示しています。オーストラリアのある州政府は、精神疾患、依存症、トラウマなどの経験を持つ専門家が常駐し、誰でも予約不要で立ち寄れる無料のメンタルヘルス診療所を開設しました。
困難な資源確保
残念なことにアジア太平洋地域では、パンデミックの影響を受けて、メンタルヘルスのリソースを確保するのに難儀しているのが現状です。ニュージーランドの保健省によると、過去1年間に数百人ものメンタルヘルス専門家が離職していることが報告されています。シンガポールの調査では、メンタルヘルスのチャットボットアプリが近年で400万回以上ダウンロードされていることが明らかになりました。
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