オンラインショッピングとアジア
ウェーバー・シャンドウィックのAPAC Intelligence Bulletin(アジア太平洋地域情報速報)では、毎週、アジア太平洋地域の産業分野や市場を方向付ける重要な動向をお伝えしています。
- パンデミック対策の緩和により実店舗が一部活性化する一方で、オンラインショッピングはアジア全域で人気を博しています。
- パンデミック以降、この分野が急速に拡大したことで、サイバー犯罪が増加し、規制の強化も求められています。
- アジアでは各方面の利害関係者が、規制の強化、サプライチェーンの変化、そして顧客の優先順位の再定義など、変化する状況に取り組んでいます。
- 特に消費者はオンラインショッピングへの嗜好を見直しつつあり、オンライン小売業者にとってより競争が激しい環境になることが予想されます。
2022年、インドのオンラインリテールの支出額は前年比30%増になると予測されています。インドネシアのeコマース市場は、2025年までに950億米ドルまで成長する見込です。オーストラリアの研究者が最近行った調査によると、オーストラリアの買い物客は現在、オンラインショッピングの体験を実店舗の体験よりも一貫して高く評価しています。
お金が増えると、問題も増える
アジア全域でオンラインショッピングの人気が続いています。しかし、長年にわたる持続的かつ急激な成長により、この分野はますます複雑になってきています。ここ数週間では、150万米ドル相当のオンラインショッピング詐欺に関わった43人が香港特別行政区当局によって逮捕されています。
日本では、世界最大級のオンライン小売業者2社が、政府の経済産業省から商習慣を改善し、販売事業者に対してより敬意をもって接するよう要請されました。タイでは、サプライチェーンとインフレの圧力の影響で、2021年以降、eコマースの年間成長率が40%近く低下しています。
安定性への取り組み
近年、この分野が世界中の不安定な状況に大きな影響を受けていることから、政府、ブランド、消費者は現在アジアでのオンラインショッピングをより安全で信頼できるものにするための方法を模索しています。中国政府の代表は、APEC加盟国に対し、サプライチェーンの強靭性を構築するなどの協力を要請しています。
東南アジアでは、複数のグローバルなファッションブランドが、消費者とのより深いつながりを求めて中古品のオンライン販売プラットフォームを立ち上げました。マレーシア政府のサイバーセキュリティ機関は、2025年までに5000人以上のサイバーセキュリティ専門家を追加雇用したいと考えています。
消費者との関係
この分野が直面する重要な要素のひとつとして、消費者の優先順位が多様に変化していることが挙げられます。インドでは、オンラインショッピングを利用する人の96%が、将来的には主にインドのブランドを優先する予定であると回答しています。オーストラリア、中国、ニュージーランドでは、消費者は生活費の負担を軽減するためにオンラインショッピングでの支出を減らす予定であることが調査により判明しています。
シンガポールとオーストラリアでは、消費者にとってのサステナビリティ(持続可能性)、物流、サイトの使いやすさといった優先事項が原因で、オンライン小売業者のビジネスが失われていると報告されています。東南アジアのデジタル経済に関する最近のレポートによると、多くのブランドが、既存顧客との関係を深めることを優先し、新規顧客獲得の優先順位を下げる方針であることが明らかになりました。
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この報告書はウェーバー・シャンドウィックのインサイト&情報チーム(シンガポール)が作成したものです。
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