アジア太平洋諸島における自己啓発
- インフレや新型コロナウイルス感染症、ロシア・ウクライナ情勢などにより、従来のような自己啓発の方法が難しくなる中、アジア各国の人々は自らの成長に役立つための新しい投資を行っています。
- 2023年には、マレーシア、中国、オーストラリアなどの市場において、自己啓発がさまざまな分野に影響を及ぼすと予想されています。
- 自己啓発への関心が高まっている大きな要因は、機械による自動化と失業に対する不安。
- しかし、一部の企業においては、既存社員の再教育やスキルアップにより、世界的な不況の圧力を回避したいと考えている模様。
最近の調査によると、大多数の人々は自分が健康志向であると考えている一方で、調査対象となった香港のミレニアル世代の半数以上は、自身の健康やウェルビーイング*全般に不満があると回答しています。また、インドの調査では、10人中7人の従業員が、よりフレキシブルな職場環境を求めていることが分かりました。
*ウェルビーイング:幸福で肉体的、精神的、社会的すべてにおいて満たされた状態。
新たな道
世界中で、旅行や教育といった、今まで自己啓発に役立つとされていたような活動が困難になりつつあります。例えば、カナダの若い旅行者を対象にした調査では、経済的な理由やコロナ禍、ロシア・ウクライナ戦争などが、海外旅行への意欲を妨げる主な要因になっていることが明らかになっています。
このような状況の中、アジアでは、新たな自己啓発の市場や取り組みが創出されています。インドでは、スキルアップ講座の受講者数が前年比70%増となっています。マレーシアでは、調査対象者の60%が今後1年以内に自己啓発のためにeコマースを利用する意向を示しています。
中国においては、2022年、Z世代消費者の52%がメディア、テクノロジー、アロマテラピーなどの購入を通じてスピリチュアル志向の消費が増加したという調査結果が発表されています。オーストラリアの業界レポートによると、ウェルネスツーリズムの分野では、2025年まで消費者支出が前年比20%増になると予測されています。
高まる圧力
自己啓発産業が拡大した要因として、失業や自動化をめぐる圧力が高まっていることが挙げられます。世界有数のオンライン講座運営会社によると、インドで2022年に最も需要があった講座は、データ分析やプログラミングの入門講座だったことが報告されています。
しかし、企業によっては、近い将来、新規雇用を抑え、社員のレベルアップに頼る場合もあると考えられています。多国籍コンサルティング会社のグローバルレポートによると、2023年にはコスト削減目的の従業員解雇を避けるべく、経営者は既存の従業員のスキルアップと再教育に注力するようになると予想されています。
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